電子商取引における一般化 Vickrey オークションの問題点: 架空名義入札に対する頑健性
櫻井 祐子, 横尾 真, 松原 繁夫
コンピュータソフトウェア (ソフトウェア科学会論文誌), Vol.17, No.2, pp.1--9, 2000.


オークションは急成長している電子商取引の重要な一分野であり, 人工知能/ エージェント技術の有望な適用領域であると考えられる. インターネットを利 用することにより低コストで大規模なオークションが可能となった一方で,ネッ トワークでの匿名性を利用した新しいタイプの不正行為が問題となる. 本論文 では, このような不正行為の一つである架空名義入札について検討する. オー クションメカニズムの架空名義入札に対する頑健性はこれまで議論されていな かったが, 架空名義入札は結託よりも容易に実行可能であるため, インターネッ ト上のオークションでは深刻な問題となり得る. 本論文では, 一般化 Vickrey オークション (G.V.A.) の架空名義入札に対する頑健性について検討する. こ のメカニズムの理論的な性質はこれまでに良く検討されており, 架空名義入札 がなければ, 誘因両立性を満たし, パレート効率な割当てを実現することが保 証されている. 本論文では, 架空名義入札によってG.V.A.で誘因両立性が 成立しない場合が存在することを示す. さらに, 架空名義入札が可能な場合, G.V.A.のみならず, どのような秘密1回入札オークションメカニズムをもってしても, 全ての 場合において, 誘因両立性, パレート効率性, 個人合理性を同時に満たすもの は存在しないことを証明する.